私は生きている・・・ 生かされた理由

その時は何も考えていなかった・・・

 

考えられなかった・・・が正しいのかもしれない・・・

 

ただ、妻がいる場所に行きたかった・・・

 

あともう一歩踏み出せば・・・妻に逢える・・・

 

 

 

 

そこからの記憶が無い・・・

 

 

 

 

気が付いた時には、精神科の閉鎖病棟のベッドに寝ていた・・・

 

 

 

 

その日から4ヶ月と10日間の入院生活が始まった・・・

 

 

毎朝同じ時間に起きて、同じ時間に食事を摂り、

 

同じ時間に薬を飲み、同じ時間に就寝・・・

 

そして翌朝、同じ時間に起きて・・・

 

 

その繰り返し・・・

 

 

閉鎖病棟の入院患者は症状が重いため、

大声で訳の分からない言葉で叫んでは大暴れして、

2~3の看護師に取り押さえられ、

監獄のような1人部屋のベッドに縛り付けられる・・・

そのため、男性看護師は見るからに腕っぷしが強そうで、

頑丈な体つきをしている・・・

 

 

外の生活からは、あまりにも違う世界なので戸惑った・・・

 

 

そんな生活も1ヶ月もすれば慣れてきた・・・

 

 

仕事をしていた時は、忙しすぎてお金で時間を買っていた・・・

 

ところが、入院中は時間が有り余りすぎる・・・

 

そのおかげで、病院中の本を読んだ・・・

 

 

 

そして・・・

 

「生かされた理由」を考えた・・・

 

 

 

なぜ・・・

 

今、生きているのだろう・・・

 

 

 

 

死にたくはなかったであろう妻は逝ってしまって・・・

 

 

 

なぜ・・・僕は・・・

 

 

 

 

 

私は生きている・・・