私は生きている・・・  葛藤

「苦しいから・・・楽にして・・・」

 

 

妻の唇が、そう動きました・・・

 

 

僕は担当医にお願いしました・・・

 

 

「妻を楽にしてあげてください・・・」

 

モルヒネの量を増やせば、苦しみはなくなりますが、

 会話はできなくなります」

 

「お願いします・・・」

 

 

つながれている点滴を通して、

モルヒネが妻の身体に入っていきました・・・

 

妻の表情が、少しずつ柔らかくなっていきました・・・

 

 

 

それから約1時間後・・・

 

妻が今、生きている証の波形が・・・

 

徐々に間隔が開き・・・

山が小さくなっていきました・・・

 

 

僕は心の中で・・・

 

 

生きろ!!

 

生きろ!!

 

生きろ!!

 

 

何度も叫び続けました!

 

 

 

その祈りも届かず・・・

 

無情にも・・・

 

生きている証である小さな波形は・・・

 

画面から・・・

 

消えました・・・

 

 

 

その瞬間・・・

 

一筋の涙が、妻の頬を濡らしました・・・

 

その表情は・・・

 

 

微笑んでいました・・・

 

 

 

 

2014年5月12日 午前1時36分・・・

 

享年54歳・・・

 

 

 

僕の一言で妻の命が消えました・・・

 

 

 

僕が妻の命を奪いました・・・・・・・

 

 

 

 

妻が旅立ってから来月で5年を迎えます・・・

 

 

 

あの時の僕の判断は正しかったのでしょうか・・・・・・・

 

 

 

 

5年経った今も、その答えは出ていません・・・