私は生きている・・・(最愛の妻を亡くして僕は鬱になりました)

心臓を圧迫する4.3㎝の腫瘍にアタックするための、

5分間の放射線治療のために、

月曜から金曜の毎日、30日間の通院をしました。

 

この頃の妻は、体力が目に見えて落ち始めてきたので、

毎回、往復2時間をかけて車で送り迎えをしました。

 

治療の効果は10回目くらいから出始めて、

少しずつですが、腫瘍は小さくなっていきました。

 

悪性腫瘍だとは知らずに、子宮全摘出手術をしてから、

あと1ヶ月で3年の月日が経ちます。

 

その長いようで、あっという間に過ぎていった時間を

振り返ってみて・・・

 

妻のために選択してきた全ての事が、

本当に正しかったのか・・・

 

生存率が5%未満と言われている5年という期間に、

残されたあと2年で何ができるのか・・・

 

5年以上・・・いや、それよりも、もっと、ずっと・・・

 

末永く一緒に生きていくためには、何が正しい事なのか・・・

 

この頃の僕は、不安と焦り・・・少しだけの希望とが交差して、

常に自問自答する毎日でした。

 

妻も・・・

いつ完治するのか? 

また元通り元気になることができるのか?

 

口には出しませんでしたが、

僕以上に不安と恐怖の毎日だったと思います。

 

その頃の妻の手記を紹介します。

 

 

 <娘からのエール>

放射線治療が始まり10日ほど過ぎた、

2012年11月半ばの朝、

 

通院途中の私に届いた曲に、涙が溢れていた。

 

いつもクールな娘から

「ママにピッタリの曲」

と、これでけのシンプルな内容のメールが届いた。

早速、車の中で主人と聴いてみた。

 

♪ 涙流さない  どんなに辛くても

 誰にも負けない強さを持っているのは

 まわりを悲しませない あなたの優しさ

 

 見つめる瞳 言葉なくても 

 伝わるあなたの想い

 負けないよって 頑張るよって

 何度も優しく笑うんだ

 

 あなたの笑顔は誰よりも輝き

 曇り空まで晴れにしてしまう

 何度も高い壁 乗り越えたから

 何も怖くない ひとりじゃないよ

 

 みんな空の下

 

♪ 言い返せなくて 悔しかったよね

 ひとりで泣いてた日々も ”今”につながって

 大きな花を咲かそうとしている

 

 小さな胸にしまい込んでいる

 空に似た 大きな心

 泣かないでって 大丈夫って

 包み込むように笑うんだ

 

 星が顔を出し あなたが眠るころ

 同じ空の下 願う人がいる

 明日もあなたが笑ってられますようにって

 見守っているよ 遠い場所から

 

 みんな空の下

 

♪ やわらかな風を吹かせて

 街はそっと 色づいてく

 

 あなたの笑顔は誰よりも輝き

 曇り空まで晴れにしてしまう

 何度も高い壁 乗り越えたから

 何も怖くない ひとりじゃないよ

 

 ♪ みんな空の下 

 

振り返ればこの3年間(2009/12~2012/11)で、

子宮平滑筋肉腫の悪性癌との闘いの日々・・・

 

3年の間に3回の手術・・・

2度にわたる抗がん剤治療・・・

そして今、30日間の放射線治療・・・

 

この曲の歌詞は、まさに私の心情・・・

 

優しく見守ってくれている家族の気持ちと、

あまりにもオーバーラップし過ぎていた。

 

娘からのエールを込めての気持ちが、

痛いほど伝わってきた・・・

 

号泣したい気持ちを、

抑えれば抑えるほど、涙は止まらず、

マスクが、かろうじてカモフラージュと、

ハンカチの代わりをしてくれていた・・・

 

今度は、私から娘に返信した。

 

「ありがとう・・・嬉しかった・・・」

 

少し開いた車の窓から入ってくる冷たい風が、

私の頬を吹き抜けていく・・・

 

しかし、私の心は温かく、幸せに満ちていた。

 

私は生きている・・・